収まりのいいキー配列を考えてみた

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どうも気になる標準配列

パソコンのキーボードというと,日本でよく見かける順にJIS配列(通称日本語配列),ANSI配列(通称:US配列),ISO配列(通称:UK配列)に大別されますが,先日からUS配列のキーボードを使い始めて,どうも気になるキーが二個有るんです.

どのキーが気になるかというと,60% キーボードのエリアだけに絞った下図を見て下さい.何か気になりませんか?

  • なぜ,[\] キーだけが幅広なの?
  • なぜ,[`] キーが端っこにあるの?

[`] キーについては,まぁ滅多に使わないからこんなところに追いやられたのだろうとは想像が付きましたが,[\] キーが幅広(1.5u)なのは何故でしょう?

どのメーカーサイトやキーボードの紹介サイトでも,この事には触れられていないんですよねぇ.

しかし,気になりますよねえ.

一応,[Backspace] キーや [Enter] とのバランスで,[\] キーの右に空きスペースが出来たから,そこを埋めるように拡げたということとは想像するのですが,それにしても何処も同じ仕様というのが気になります2

配列をいじってみました

調べても判らなかったので,このままのレイアウトで,[\] キーを他のアルファベットキーと同じ 1u とすればどうなるか試行錯誤してみました.とにかく US 配列は [Space] キーがバカ長いので多少は小さく出来ると思います3が,特殊な長さを増やすことはコスト上昇につながるのでやめておきます.

こんな感じでどうでしょう? 割と収まりが良くなった気がしますよねぇ.

ファンクションキーは描いていませんが,配列に大きな差が見られる 60% 仕様で説明したいと思います.

  1. [Backspace] キーの幅を 2u から 1.5u に縮めて下に降ろす
  2. [`] キーを左から右へ移動
  3. [Esc] キーを新たに左端に配置
  4. [Del] キーを新たに右端に配置
  5. [\] キーの幅を 1u に縮めて右下へ
  6. [Caps Lock] キーを [Ctrl] キーに変更
  7. [Fn] キーを左右に配置
  8. [Win] ,[Menu] キーを廃止(別レイヤに移動)
  9. 新たに [Op] キーを左右に配置

順に詳しく説明していきます.

[Backspace] キーを 1.5u に縮めて下に降ろす

[\] キーを取り外して,空いたスペースに [Backspace] キーの幅を 2u から 1.5u に縮めて降ろします.

その結果,元の [Backspace] の位置に 2u 分の空きが出来る4ので,以下,この空きを利用します.

[`] キーを左から右へ

[`]([~])キーを [Backspace] を移動して出来たスペースの右側を空けて移動します.

つまり,[=] キーの隣に [`] キーが収まることになりますが,使用頻度が低いので影響は無いと思います.

[Esc] キーを新たに配置

元の [`]([~])キーの場所が空くので,この位置に [Esc] キーを配置します.

既にファンクションキーの段の左端に配置されていますが,60% にサイズダウンする際にも,この位置は扱い易いと考えます.

[Del] キーを新たに配置

元の [Backspace] の位置に 2u の空きが生じ,その内の 1u が [`] キーで埋められたので,右端に [Del] キーを配置します.

少し右手(小指)から遠くなりますが,使用頻度は低いので修飾キーとの同時押しよりは使い勝手は向上すると思います.

[\] キーの幅を 1u に縮めて右下へ

最初に外しておいた [\] キーですが,他のキーに比べて 1.5u と幅広ですので,1u に縮めます

このキーが一番「しっくり来ない」キーなのでどうにかしたかったのですが,スラッシュと対になるような位置がベストと考え,右 [Shift] キーを挟んで [/] キーと対になる位置に配置しました.

右 [Shift] キーの左,つまり [/] キーのすぐ右隣に配置する場合も考えましたが,右 [Shift] キーが右手から遠くなってしまうので避けました.この方法は,Split Shift 方式では良く取られている様です.

その結果,右 [Shift] キーが 1u 分短くなってしまいました5が,日本語(JIS)配列と同じサイズですので,まぁ許してもらいましょう.

[Caps Lock] キーを [Ctrl] キーに変更

もうこれは初心に帰るというか,UNIX 系や古い macOS 系で採用されていた配列に戻るのですが,間違って押してしまって大文字だらけになる [Caps Lock] キーは,多くのユーザーが【要らない】と言っている不要キーですので,有効活用するためにこれを [Ctrl] キーに置き換えます.

[Fn] キーを左右に一対配置

左の [Ctrl] キーの場所が空くので,ここに [Fn] キーを割り当てます.

また,対象となる位置(次項で廃止する [Menu] キーの位置)にもう一つの [Fn] キーを割り当てることにします.

Fn と言う名称は本来 Function が由来で,ノートパソコン等で限られたスペース内で F1 ~ F12 と言ったファンクションキーを割り当てるために導入されたのですが,今では Function の名が示す通り他のキーに「機能を与える」修飾キーとして利用されています.

ですから,現在の[Fn] キーはどちらかというと【レイヤ切換】キーのイメージで使うケースが多く,ここでもそのような意味合いで割当て行います.

  • 右 [Fn] : いわゆるファンクションキー選択用
    右 [Fn] + [N] と入力する場合の [N] が数字キーの 1 ~ 9,0(= 10) に対応し,記号キーの [-],[=] が 11,12 に対応
  • 左 [Fn] : レイヤ切換の【トグル】スイッチになる
    【ON状態】で矢印キーやテンキーが定義されたレイヤに固定
    再度押すことで解除される

[Win] ,[Menu] キーを廃止

キートップの文字は廃止してしまい,別レイヤに機能は残すことを想定しています.

汎用性のあるキーボードに特定の OS を意味する Win や そのロゴが表記されているのはどうも馴染めません.
(多くの方が有効活用されていると聞くのですが,私は使ったことが無いので...)

おもてのレイヤから隠すことで,ゲームキーボードでよく使う Win Lock 機能も不要となります.

これで,[Fn] キーの隣にも空きが出来ました.

[Op] キーを左右に一対配置

[Win] キーの元あった場所にはそれぞれ [Op] キーを割り当てます.

これらのキーは,一つのキーボードで 各種 OS 仕様の特殊キーに対応できる様にするために導入しましたが,いわば拡張機能キーとでも言うべきキーになります.[Ex] キーなどとしてもいいかと思います.

左右一対にしたのはバランス面を考慮しただけですが,将来的な拡張への対応を含ませています.

当面は全く同じ機能でもいいかと思います.

[Win] キーをどうしても表レイヤに移動させたい人は,このキーを [Win] キーにアサインして,キートップも変更してもいいでしょう.

その場合,右 [Op] キーを 右 [Win] キーや [Menu] キーとしてもいいかもしれません.

macOS なら左右の [cmd] や [option] キーに変更することになるのでしょうか?

左 [Fn] キーでロック時の一例

左 [Fn] キーにレイヤ切換のロック機能を持たせた例を説明します.

矢印キー

[/]
[Alt] [Ctrl] [Fn 1]

[↑]
[←] [↓] [→]

の凸状が操作しやすいと思います.しかも,下端というのがミソです.

[W]
[A] [S] [D]

[E]
[S] [D] [F]

 や 

[I]
[J] [K] [L]

と言う設定もよく目にしますが,特に [I],[J],[K],[L] は,次の数字キーの関係で外す事にしました.

[E],[S],[D],[F] は,ホームポジションのままカーソル移動できるので,第一候補になります.

数字キー

これはもう...テンキーの並びで,

[7] [8] [9]
[U] [I] [O]
[J] [K] [L]
[M]   [.]

[7] [8] [9]
[4] [5] [6]
[1] [2] [3]
[0]   [.]

が,ぴったりでしょう.

さいごに

ということで,収まりのいいキーボードを考えてみましたが,如何でしたでしょうか?

ただ残念ながらキーの配列だけで無く,物理的にキーキャップの大きさまでも変更になる位置があるので,現行のキーボードのままキーアサインして,キーキャップの付け替えるだけでは実現できません.

具体的には,[Backspace] キーのあった場所に 1u 2 個分に分割した回路が必用となります.

また,右 [Shift] キーを短くする事で新たに 1u と 1.75u の 2 回路が必要になります.

こう言った基板設計からキーボードを自作される方なら実現できると思いますので,どなたか挑戦してみてください.

その時は,このページへのリンクをお忘れ無く. 😀


  1. 本稿のキーボードレイアウト図は KLE(keyboard-layout-editor.com)で作成しました. ↩︎
  2. 興味のある方は ANSI INCITS 154 : 1988 を参照してみてください. ↩︎
  3. これは Split Space と呼ばれていて,自作キーボードやエルゴノミクスキーボードなどでよく見られます. ↩︎
  4. これは Split Backspce と呼ばれていて,自作キーボードなどでも採用されているそうです. ↩︎
  5. これは Split Shift と呼ばれていて,Shiftキーを押しやすくし,使用頻度の低い \ を右に追いやる方法が良く取られます. ↩︎

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