^{40}Kの内部被曝を計算してきたついでに,^{131}Iについても考えてみます。 必要な基本データは次の通りです。
- 崩壊パターン
- 崩壊エネルギー
- 半減期
- 測定された放射能(ベクレル:Bq)・・・Bq/kg表記が多い
1.の崩壊パターンは\beta{}^-崩壊とその後に続く\gamma崩壊。
2.の崩壊エネルギー(MeV)は多い順に
\beta{}^-崩壊
0.60631(89.9%)\,,\,0.33381(7.27%)\,,\,0.24789(2.1%)
等広く分布
\gamma崩壊
0.364489(81.7%)\,,\,0.636989(7.17%)\,,\,0.284305(6.14%)\,,\,\\0.080185(2.62%)\,,\,0.722911(1.773%)
となります。
これらを合計すると
0.57454+0.37583=0.95037[MeV]1[MeV]=1.60217646\times{}10^{-13}[J]より
0.95037[MeV]\times{}1.60217646\times{}10^{-13}[J/MeV]=1.52266\times{}10^{-13}[J]3.の半減期は8.02070日・・・これは最後にちょこっと。 😀
4.の測定された放射能は,3月24日の報道によると
「ほうれん草1kgあたり24000Bq」。
インパクトのある数値です。
この数値は,必然的に「洗った後の数値」になることに留意が必要です。
なお,水洗はしていないとの報道もありますが,泥まみれになっているモノも想定され,洗う場合とそうで無い場合がある方が不自然。洗うのが当たり前と思います。
1個の^{131}Iが崩壊するときに放出するエネルギーと,ほうれん草1kgあたりの崩壊数24000Bqが判りましたので,
1.52266\times{}10^{-13}[J]\times{}24000[Bq/kg]=3.6543\times{}10^{-9}[J/kg]=3.6543\times{}10^{-9}[Gy]∴ 0.0036543[\mu{}Sv]
じゃあ無いそうです。
ここからは,いろんな係数(^{131}Iは特に甲状腺と言う組織への影響)を考慮するなど,結構複雑 🙁
→ 向学心旺盛な方はこちらを参照ください 😀
緊急被ばく医療研修のホームページの内部被ばくに関する線量換算係数によると,^{131}Iを経口摂取した場合の実効線量係数は 2.2\times{}10^{-8}[Sv/Bq] だそうです。
ですから,ややこしい計算は抜きにして,緊急時はこの数値を放射能の量に掛けなさい。とICRPが勧告しているらしいのです。
となるともう少し大きな数字になります。
2400\times{}2.2\times{}10^{-8}=5.28\times{}10^{-5}[Sv]∴ 52.8[\mu{}Sv]
あくまでもこれは,「24000Bq/kgの放射能を持つホウレン草を1kg,そのまま食した場合」の緊急被曝時の数値です。
通常のお浸しレベル・・・20g位か?・・・では,全く問題の無い数字のようです。
ましてや,\red{200Bq\,,\,2000Bq}等という数値に慌てる必要は全くないと言えますね。
3.の半減期ですが,実は先の実効線量係数を求めるときの,預託等価線量内で使用されます。これを説明できるほど私自身が理解できていませんので,後日という事で。 😉
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